ディッキアの育て方:分頭株の切り分け(分頭カチ割り)編
<はじめに>
ディッキアは成長点が二手に分かれる(分頭する)ことがあります。放っておくと、そのまま多頭化して群生したり、時間を掛けて、完全に独立した株として分かれるケースもあります。そういった分頭株を、刃物などで強制的に分離する方法を、「分頭割り」とか、「カチ割り」と言ったりします。子株が欲しいけどなかなか出してくれない場合や、分頭状態で大きくなりすぎて整理したい場合、単頭にして育てたい場合などに、この作業を行うことがあります。
実は僕はあまり積極的にカチ割りをしません。理由としては、刃を入れることで雑菌が入って腐らせるリスクが高いことが一番です。あとは、単頭仕上げの美しさも好きですが、そもそも分頭株も嫌いじゃないからです。
あとは、(僕のやり方だと)株を鉢から抜くので、ディッキア育成で最重要だと僕が考えている「根」が露出してしまい、ダメージが出たり、最悪拗らせてしまう可能性があると思うからです。(これに関しては、根を露出せずに行う方法もあります)
なので、経験的にはそれほど多くはありませんが、実験的に行ったことは何度かあるので、その際のやり方について書いてみたいと思います。(元々書いた記事は2017年11月のものなので、今後もっとわかりやすい写真等が撮れたら、差し替えていきたいと思います)分頭切断はリスクがあるので、これを見て作業をされる方は自己責任にてお願いします。
<注意点>
切断後は養生期間が必要なため、通常は気温が20℃を越える時期(春から秋のはじめくらいまで)に行うのが良いと思います。基本的に刃物を使って力を入れて切り分けるので、怪我にはくれぐれもお気をつけ下さい。また、ディッキアのトゲでケガをすることも多いので、引っかかりにくい素材の園芸用手袋をした方がいいと思います。
<準備する物>
・切断するディッキア
・刃物(包丁、ナイフ的なものやハサミ、カッターなど)
・園芸用手袋
・消毒剤(ダコニール、トップジンなど)
<作業開始>
今回切断するディッキア・ミスト(Dyckia ‘Mist’)の親株を、鉢から抜いたところです。頭が四つある4分頭状態。最初に二つに分かれて、それぞれがさらにもう一回分かれて、頭が四つになりました。
枯葉を取って手を入れやすくし、根元をしっかりもって左右にグラグラすると、ポキっと取れます。子株を取った後に、株元の枯れ葉やハカマ?(枯れた葉の残りが層になったような部分)を取ります。ちょっとタテ方向に切れ目を入れて、両サイドから引っ張るとピリピリとキレイにむけて、これがちょっと快感です(笑)ただ、やりすぎると根元を傷つける恐れがあるので、ほどほどが良いかと思います。今回は切断する場所をしっかり見定める必要があったので、ギリギリまでむいて、分かれた株と株の間である、通称「おしり」が見えるようにしました。このおしりが見えていれば、切断はやりやすいと思います。逆にこの部分がはっきりしていない株を割るのは、リスクが高いので、上級者向けかと思います。また、根が乾燥すると、その後の立ち上がりに時間がかかるので、根が露出する時間が出来る限り少なくなるように、手早く作業した方がいいと思います。
当時はちゃんとした刃物を持っていなかったので、段ボールカット用の小型ノコギリのような刃物を使いました。作業時間やその後の回復を考えると、よく切れるナイフのような刃物がいいと思います(ただし、何度も言いますが、くれぐれも怪我には気をつけて)。分かれ目(おしり)に消毒した刃物の刃を入れて、思い切ってギコギコ!
最後まで切り終えたら、そーっと開きます(ディッキアは葉のトゲ同士が絡んで引っかかるのと、カット後は根にダメージが少ないほど回復が早いので、丁寧に)。
切断完了(なんか汚いw)。境界線付近にあった葉は、思い切って取り除きました。
ノコギリを使ったので、切断面は若干ガタガタしています。
切断面のアップ。画像左上の位置に枯れた花芽の痕がありましたが、花芽痕はかなり繊維質で硬く、取るのに苦労しました。このあと、断面をダコニールの溶液でしっかり消毒し、乾燥させました。乾燥させる際には、根まで乾燥してしまうと、その後の立ち上がりに時間がかかるので、根は土に埋めて乾燥しないようにして、断面部分だけが露出するように鉢にセットして乾燥させると失敗が少ないと思います。用土は、しっかり落ち着くまでは、雑菌で腐る可能性があるので、あまり有機物が入ってないものがより安全かと思います。鹿沼土などがオススメです。
以上、ディッキアの分頭株の切り分け(分頭カチ割り)について書いてみました。参考になれば幸いです。新しい内容を思いついたら、どんどん更新していきたいと思います。
その他、ディッキアの育て方に関する記事は、下記をご覧下さい。