ディッキアの育て方:交配・受粉編
<はじめに>
ディッキアは人工授粉で結実しやすく、交配が行いやすいので、自分のオリジナル品種作りにチャレンジすることができる。僕自身、色々な方に教えてもらいながら何度もチャレンジしているので、そのやり方を書いてみる。
<ディッキアの花>
ディッキアは成株になると、だいたい毎年花芽を伸ばして、花を咲かせる。時期的には、日本だと春と秋に開花することが多い。
交配に関しては、暖かい春の方が圧倒的に成功率が高く、その後の育成も楽なのでオススメ。秋は、開花後にすぐ冬になるため、温室などの環境が無いと、花が枯れたり、うまく結実しなかったりする。
<準備するもの>
・ピンセット(花弁や雄しべを掴んで作業するもの)
・ハサミ(又はデザインナイフ等、花弁をカットするもの)
・ポリバッグ等(花粉を保存するもの)
・色の付いたヒモ(交配内容を示す印として使用するもの)
<開花の確認>
↓通常のディッキアの場合、このくらいは花弁が開いてから行う。ちょっと触れるだけで、花粉が飛ぶのがわかると思う(写真はすでに飛んでる)。
あまりに早いと、雄しべから花粉がうまく取れず、雌しべにも花粉がうまく付かないことがある。また、遅すぎると花弁が萎れて閉じてしまうし、雌しべの湿りがなくなってしまう。
↓ゴエリンギーは、花弁が完全に開かない。これよりもう少し開くくらい。この状態で充分花粉が取れる。
<花弁のカット>
花弁は人工授粉の際は邪魔になってしまうので、取り除く。ピンセットでちぎり取ることもできるが、ちぎった衝撃で花粉が飛び散ってしまうことがあるので、ハサミなどでカットするのがいいと思う。(今回のモデルはゴエリンギーの花)
ちなみに、樹祭のときにタイの有名育種家Sueb氏の実演を見せてもらった際、彼はデザインナイフを使用していた。
僕は個人的に、100均で買った眉毛カット用小型ハサミが使いやすくて、愛用している。
写真用に指をどかしたけど、実際は揺れないように、花芽を指で掴んで、しっかり支えてからカットしている。(画像ブレブレでごめんなさい)
↓3枚の花弁をすべてカットした状態。6本の雄しべが露出している。
<雄しべのカット>
次に雄しべをカットする。雄しべはピンセットでつまんでひねると、軽く取れる。衝撃が加わると花粉がこぼれるので、慎重に行う。
↓取った雄しべ。先端の葯(やく)の部分に花粉が溜まっているのが見える。雄しべは別の品種との交配に使うので、ポリバッグなどの容器に取っておく。すべての雄しべを取ったら、準備完了。
<受粉>
雄しべを取り去って、雌しべが露出した状態にしておいたところへ、別の品種の花から取った雄しべの先端を付けて、雌しべに花粉を付着させる。(自家受粉させたい場合は、先程取った雄しべをそのまま使う。)
↓雌しべの先端に花粉が付いた状態。これで作業は完了。
<受粉後>
結実すると花弁が枯れ、少しずつふくらんでくる。
↓さらに数週間経つとふっくらして、黒っぽい色に変化する。
↓最終的な状態。一つの花に種の鞘が3つ作られる。
↓さらに時間が経つと、鞘の先端が割れてきて、種がこぼれはじめる。この先が割れてくるのが、種を収穫できるサインになる。うっかりしていると、ほとんどの種がこぼれてしまっていることもある(笑)
↓収穫した種は、交配内容や時期がわかるように、メモしておく。僕の場合は書くのがめんどくさいので、数字で書いておいて、詳しい内容はPC上のエクセルで管理している。
↓すぐに種まきしない分は、ポリバッグに小分けして、乾燥剤を入れて、冷凍庫で保管しておく。数年持つらしい。
<複数品種との交配>
一つの株で咲いた複数の花に対して、別の種類の花粉をいろいろ付けて、花ごとに交配内容を変えることもできる。
ただし、どの花にどの品種の花粉をつけたかわからなくなるので、ヒモや糸などで色を変えて、目印として花に結びつけておく。
どの色がどの品種かは、きちんとメモしないとすぐにわからなくなる(涙)
<参考>
<ネットで手に入るもの>
その他、ディッキアの育て方に関する記事は、下記をご覧下さい